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鉄のラインバレル 1 (チャンピオンREDコミックス)

鉄のラインバレル 1 (チャンピオンREDコミックス)

8巻まで読了。

ロボ+直立不動のキャラクターという構図で毎巻の表紙を飾り、line(直線)という単語をタイトルに掲げるこの漫画、内容も驚くほどまっすぐなロボットもの。

ある日無力な少年が謎のロボットに出会い…というお約束から始まるものの、しかし主人公は年相応の力への過信やちっぽけな超越感を出しまくりな難のある人物であり、ヒロインをして「彼は最低の人間です」と言わしめる唯我独尊振りを発揮。しかしそんな彼にも数々の過酷な現実が降りかかり…
という少年の成長を描きながら、数々の魅力的なデザインのスーパーロボット同士の熱い戦いを見せ付けてくれる。(ロボットの見分けが何故か付きにくいが。)

しかし3巻以降、まるでストーリーがキャラに台詞を言わせているかのように主人公の、そして取り巻くキュラクターの言動がお約束の域を出なくなってしまう。ロボットバトル物に限らず、キャラが増えストーリーが加速し出すと良く陥る現象だ。つまり大抵の物語。


ロボットはかっこいい。ギミックもお約束ながら、良い。キャラクターもお約束の造詣ながら、良い。
でもそこまでかなという感がある。今後のどんでん返しに期待。


ちなみに作者のHPでは、ある意味この漫画以上に知名度が高いWeb漫画「Hybrid Incector」が楽しめる。仮面ライダーの”その後”を描いた作品であり、これも、熱い。


60点。


ヒャッコ 1巻 Flex Comix

ヒャッコ 1巻 Flex Comix

3巻まで読了。

男の子不在の学園ラブコメ の皮を被った日常系ギャグマンガ で片付けられない何か。それも強力な。

内気な少女、お嬢様、天然、ダウナー、委員長(?)、マッドサイエンティス子(造語)、パパラッ子(造語)などなどの数多くの人物が、思いのままに学園生活を送る物語。
そして何より主人公の虎子だ。ガサツで、考えるよりも先に手が出て、ノリが良く、しかし常識はずれではなく、他人思いで、いつも笑っているこの少女があらゆる人物をかき回し、そして彼女もかき回される。彼女の造詣は見事なもので、なかなか一言で言い表せない魅力を持つ。彼女に接した途端に、そのキャラクターの魅力が大きくなるという「周りを輝かせてくれる人間」というものを、直接作者が言及しなくても読んでいるうちに読者が自然と感じ取ることが出来る。

キャラクターに大きく重きが置かれた話は数あれど、ここまで一人一人が魅力的な物語もそうないだろう。どのキャラクターもボケ・突っ込みのどちらもこなしており、大人数であればあるほどその絡みが上手い。もっとそれぞれ個人の話が読みたい、と素直に思わせてくれる力は確かなもの。


ベタ褒め状態ではあるが、安易な記号の勝負をせず(絵柄の特徴かもしれないが)にこれだけ魅力的な少女たちを生き生きと描けるのは見事。
虎子は本当に可愛いぞ。


75点。

タビと道づれ 1 (BLADE COMICS)

タビと道づれ 1 (BLADE COMICS)

3巻まで読了。


淡いタッチで描かれる、淡い世界の淡い少女の物語。
帯に書いてあった天野こずえの言葉と絵に惹かれて買った。

現実から逃避をしてきた、人一倍気弱な少女が辿り着いた港町。この町は毎日同じ一日を繰り返し、町を縦横無尽に走る路地が街の外への道を拒む。その閉じた世界で起きる、起きるはずのない出会い……

一読して、水っぽい西瓜を食べている感触。ほんのりと甘い。が、どうにも物足りない。
二読して、梨を食べている感触。最初とは違う味がするが、やはり水っぽく物足りない。
どこが物足りないのかなぁ。こういう話は好きなはずなのだが。全くキャラクターたちに感情移入が出来ない。キャラクターの悩みや諭される言葉があまりにも若すぎるというかなんというか…。10年前に読んでいたら恐らく違う感想を抱いていたな、とは思う。

この世界はワンダーに満ちているが、それは地に足が付いていないワンダー。綺麗で透き通っているがそれ以上でも以下でもない、儚い少女の夢語り。そんな印象の物語。


50点。