最終兵器彼女外伝 世界の果てには君と二人で - 高橋しん

アニメ化されたり、ゲーム化されたり、映画化されたり。
メディアミックスという名の商法に彼女が乗せられていく度に、原作を汚さないでくれ、と何度心で叫んだことか。それほどまでに原作が与える衝撃は、大学受験期・浪人時代の私にとっては大きかった。何度読み返したか分からない。5巻など、もう表紙がボロボロである。どっぷりと一つの本にはまるという経験はもう二度とないだろう。それだけ思い入れが大きかった。
だから、メディアミックスによる”最終兵器彼女「外」”からの「思い出への汚れ」には我慢がならなかったし、その度に胸中では原作の神格化が進んでいった。

そして今回描かれた“最終兵器彼女の後”を一読し、そのときには何の感慨も湧かず、再読したときには、何かが音を立てて崩れた。そしてその後にはトカトントンという音が聞こえてきて、まるでさっぱり最終兵器彼女への情熱が冷める現実が。「内」からの「思い出への汚れ」は、こうもあっさりと現実を突きつけるものなのか。

ああ、自分は変わったんだな。作者にとっても本当にこれは最後の最終兵器彼女への決別に違いない、と思い、でもその思惑には関係なく、やはり私も同様に決別の時が来たのだと感じた。それを寂しいと思わないからこそ、本当に変わったんだな、と。


70点。