スティール・ボール・ラン(8) - 荒木飛呂彦

STEEL BALL RUN vol.8―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (8) (ジャンプコミックス)

STEEL BALL RUN vol.8―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (8) (ジャンプコミックス)

中学、高校くらいまでは「面白い」「つまらん」の二極で片付けられた読書の感想(他エンターテインメントも含むが)も、浪人、大学とさかしくなっていくにつれて「物語の構造」「方法論」「表現方法」などと言った“胡散臭い”面白さのカテゴライズをするようになり、「ストーリーは残念ながら読者への吸引力と成りえなかったが、この作者独特の表現方法は健在であり……」という面白いんだか面白くなかったんだか分からない感想を書くことになる。そして文章に落とさなくても、頭の中では面白さの構造解析などを行っていたりして、本当の面白さが、自分がその本を楽しんでいるのかが分からなくなってくる。*1

このスティール・ボール・ランも、作者は1,2巻こそJOJOでマンネリが続いていた「スタンド合戦」からの脱却を果し、新しい作風に挑戦したことを大いに評価していたりしていたものだが、やはりどこかで「つまらんね」と思っていたのだろう。理屈では面白いと思っていても、やはり感情は素直だ。あまり新刊を買うのに気が進まなかったと思う。

7、8巻で繰り広げられるスタンド合戦を見て、「悪しき自己模倣の再開」「結局JOJOの呪縛からは逃れられない」などと思おうとしても……面白いんだな、これが。理屈無しに。相変わらず濃すぎる絵の線や戦闘もそうとして、最高にテンションが上がる。リンゴォ・ロードアゲイン「男の世界」。まさかボス級スタンドが出てくるとは…。

どっかのBLゲームタイトルではないが、面白いものは面白いからしょうがない!!であろうな、と思う。
面白さの理屈付けなど後から暇になったら考えればいい。素直に本が読めればそれが一番だ。例えそれが素直につまらなかったとしてもね。

65点。

*1:最近はそこから脱却できていると信じたい。